「ケアマネって給料は安いの?」
「ケアマネの給料は上がらないって本当?」
ケアマネは介護業界で常に重要な役割を担ってきています。専門性と責任の重さにも関わらず、給料面での待遇に課題があると言われ続けてきました。
本記事では、ケアマネの給料の現状と将来の処遇改善について詳しく解説します。給料を上げる方法についてもお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
この記事は「コンテンツ制作ポリシー」に沿って執筆しています。
【結論】施設ケアマネの給料は上がる可能性あり!
ケアマネのなり手が少なくなってきていると言われ続けていますが、今まで給料に直接関係する改正はありませんでした。しかし、2019年10月に創設された「介護職員等特定処遇改善加算」により、介護施設で介護業務を兼務するケアマネも対象になりました。
介護職員の処遇改善処置
結論から言うと、施設ケアマネジャーの給料は上がる可能性があります。2024年4月の介護保険制度改正でも、介護職員の賃金のベースアップにつながるように、2024年6月には「+2.5%」2025年には「+2.0%」と処遇改善が示されていおり、介護施設やサービス事業所の介護職員は給料が上がると考えられます。
施設ケアマネで現場の介護職員も兼任している場合、介護現場で働いている分は「介護職員等処遇改善加算」の対象です。しかし、居宅介護支援事業所で働くケアマネは対象になりません。同じケアマネでも施設ケアマネの場合、給料は上がる可能性があります。
参考:令和6年度介護報酬改定の主な事項について|厚生労働省
「介護職員等処遇改善加算」とは?
介護職員等処遇改善加算は、介護サービス事業所が職員の賃金改善に取り組む際に受けられる介護報酬の加算制度です。介護職員の給与水準を引き上げ、人材確保と定着の促進が目的です。
今までは、介護職員処遇改善加算と介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算の3種類でしたが、2024年6月からは「介護職員等処遇改善加算」に統合されました。制度改正により介護業界で働く人たちの給料アップが期待できます。
加算の取得には一定の条件があり、すべての事業所で対象となるわけではありません。
ケアマネの現状とは?
ケアマネの現状は、厳しい状況にあると言えます。ケアマネの高齢化や人手不足などのニュースを良く聞くようになりました。
受験者
ケアマネになるためには年1回おこなわれる「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格する必要があります。しかし、試験を受験する人は減少しているのが現状です。
2017年には約13万人いた受験生でしたが、翌年2018年から受験資格が厳格化され、約4万9,000人にまで減少してしまいました。2023年の合格率は21%と合格するのも難しい状況です。ケアマネの質の向上や専門性を高めるために受験資格を見直しましたが、人材不足を進行させてしまうという結果となりました。
この傾向が続くと、将来的にケアマネの人材不足はより深刻化する可能性があります。受験者数の減少を食い止めるには、ケアマネの待遇改善や業務環境の整備が急務となっています。
参考:第26回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について|厚生労働省
報酬
ケアマネの報酬は、主に介護報酬から支払われています。介護報酬は3年ごとに改定されますが、近年の改定では大幅な増額は見られず、ケアマネの待遇改善には十分につながっていません。2024年度の介護報酬改定では全体で1.59%の増加はありましたが、直接ケアマネの報酬につながるような改定内容はありませんでした。
介護職員に対する処遇改善は、2012年4月からの「介護職員処遇改善加算」はありますが、ケアマネは対象外になっています。ケアマネはさまざまな相談や支援業務をおこない、求められる範囲も徐々に大きくなってきておりますが、報酬が仕事量に合っていないという現場の意見も多く聞かれます。
【予備知識】ケアマネの給料事情を紹介
ケアマネの給料は勤続年数や勤務先の規模などによって変わります。
月給・年収
厚生労働省から公表されているデータによると、令和3年12月と令和4年9月の常勤ケアマネの月給と年収は以下のとおりです。
【令和3年12月時点のケアマネの月給と年収】
月給(手当・一時金含む) | 348,030円 |
---|---|
年収(月収×12か月) | 4,176,360円 |
【令和4年9月時点のケアマネの月給と年収】
月給(手当・一時金含む) | 361,770円 |
---|---|
年収(月収×12か月) | 4,341,240円 |
参考:令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果|厚生労働省
令和3年12月と比較すると、ケアマネの月給は13,740円アップしています。徐々に給与は上がってきていますが、業務範囲も増えており実態に合っていないという声も多いです。
ケアマネの給与水準を適切に評価し、業務環境の改善が質の高い人材の確保と定着につながると考えられます。
ケアマネ以外の介護職との比較
ケアマネの業務は専門性と責任を要するため、ほかの介護職より給料が高いと言われています。具体的には、以下のような違いがあります。
【令和4年9月時点の月給】
職種 | 月給 |
---|---|
介護職員 | 317,540円 |
看護職員 | 373,750円 |
生活相談員・支援相談員 | 342,330円 |
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、機能訓練指導員 | 354,770円 |
介護支援専門員 | 361,770円 |
参考:令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果|厚生労働省
介護職員については、デイサービスや訪問介護など夜勤のない介護職員も含まれます。介護施設で夜勤をやっている場合は、この金額以上の月給があると考えられます。
2019年10月から始まった「介護職員等特定処遇改善加算」は、勤続10年以上の介護福祉士の人数に応じておこなわれる処遇改善です。ケアマネは対象外になっており、給料アップにはつながっていません。
ケアマネの給料を上げる方法
ケアマネの給料を上げるには、個人のスキルアップと環境が重要です。
同じ事業所で長く勤める
定期昇給が設定されている事業所では、長く働くと給料が自然と上がっていきます。初めは給料が低く感じるかもしれませんが、同じ場所で続けて勤めることで、積み重ねた知識や経験を活かして、より質の高い支援の提供ができます。
主任ケアマネを取得する
主任ケアマネを取得すると、資格手当のつく事業所があります。
主任ケアマネは、ケアマネの実務経験が5年以上ある人は研修を受講すると取得できます。通常業務をおこないながら、課題をこなして研修に通うのは非常に大変です。しかし、主任ケアマネになると、困難事例の担当やほかのケアマネの指導もできるようになります。専門性が高い分、資格手当がついて給料が高くなります。
管理者になる
給料を上げるには、事業所の管理者になる方法もあります。役職に就くと、役職手当がつくケースは多いです。主任ケアマネの資格を保有していると管理者になれます。
管理者は責任が重い分、給料も高いです。スタッフの管理やシフト作成、経営者との話し合いなど仕事の幅がぐっと広がります。管理者としての経験は、経験を豊かにするだけでなく給料アップにつながります。
ケアマネ以外の仕事をする
ケアマネの仕事だけでなく、ほかの仕事もすると収入が増えます。
社外のセミナーで話をしたり、地域のイベントの手伝いもおすすめです。社外の仕事は、通常のケアマネの仕事とは別に報酬がもらえる場合は多いです。報酬のある場合は所属している事業所に確認してから参加しましょう。
施設ケアマネの場合は、介護職員と兼務すると給料は上がる場合があります。早番や遅番、夜勤などをすると手当がつく場合もあります。介護職員として働いた時間は、介護職員等処遇改善加算の対象です。
転職する
今の職場で給料が上がりにくいなら、転職も考えてみましょう。昇給の基準や福利厚生の内容など給料以外の部分の確認も必要です。
給料を上げるなら、以下のような転職をおすすめします。
- ケアマネから施設の介護職員になる
- 居宅ケアマネから施設ケアマネになる
- 今より手当や待遇の良い事業所を選択する
給料面だけ考えるなら、ケアマネより介護施設で夜勤をおこなう方が給料は上がる場合が多いです。居宅ケアマネはケアマネ業務しかおこないませんが、施設ケアマネは介護業務と兼務するケースが多く、給料も高くなります。
基本給だけ見るのではなく、各種手当や福利厚生も確認してみましょう。利用者の担当件数に応じてインセンティブ(追加報酬)がつく事業所もあります。
ケアマネは、多くの事業所で求められています。給料だけでなく働きやすさも考える必要があり、給料の割に業務量が多いなど、転職後に後悔しないように事前の確認が必要です。
待遇がより良い職場を探すなら介護派遣の「ホップ」がおすすめ!
待遇の良い職場を探す際には、介護職専門の派遣サービス「ホップ」の利用が効果的です。
ホップの強みは、豊富な求人情報と経験豊富なコーディネーターによる丁寧なサポートです。ホップには高待遇の求人が多数登録されており、あなたのスキルや希望に合った職場を見つけやすくなっています。
ホップのコーディネーターは介護業界に精通しており、給料だけでなく職場の雰囲気や将来性なども考えておすすめしています。転職は慎重に検討すべき大きな決断です。ホップを利用する際も、自身がどのような仕事をしていきたいのか考えをまとめておくと良いです。
ケアマネの給料に関するQ&A
ここからは、ケアマネの給料に関する質問に答えていきます。転職の際の参考にしてみてください。
ケアマネの月の手取りはいくら?
ケアマネの月の手取りは、ボーナスも含めると毎月約36万円です。この金額は経験年数や勤務先、地域によって大きく変動します。
ケアマネの手取り額を上げるには、基本給アップだけでなく、資格手当や役職手当の獲得も重要です。手取り額を増やすには、スキルアップや責任ある立場への挑戦が必要です。
ケアマネは独立したら儲かるの?
ケアマネが独立して事業所を開設すると収入が増える可能性はありますが、リスクも高くなります。独立のメリットとしては、自身の裁量で業務を進められるため、成功すれば高収入が見込めることです。デメリットとしては、経営の不安定さや責任の重さ、長時間労働などです。事業所の家賃や水道光熱費、車のガソリン代などは自分が支払うため、経費がかかります。
介護報酬の改正は3年に1回おこなわれ、政府の方針によって報酬の増減があるのも経営の不安定さの要因です。管理者の設置には主任ケアマネの資格保有者が必要になるため注意が必要です。
独立を考える際は、メリットとデメリットを考慮して、自分に合う働き方ができるのか検討しましょう。
「ケアマネを辞めて良かった」って声を聞くけど…。
たしかに「ケアマネを辞めて良かった」という声は存在しますが、理由は個人によってさまざまです。主な理由としては、責任の重さからの解放やワークライフバランスの改善、新たなキャリアへの挑戦などが挙げられます。
あるケアマネ経験者は「ケアマネを辞めて一般企業に転職して、精神的に楽になった」と話しています。一方で、ケアマネの仕事にやりがいを感じ、継続している人も多いです。
重要なのは、やりがいと負担のバランスを見極め、自分にとっての最適な選択です。
ケアマネの給料を上げたいなら転職も考えてみよう
ケアマネの給料は、処遇改善の動きや個人のスキルアップによって上がる可能性があります。簡単に大幅アップするわけではないため、長期的な視点でのキャリア設計が重要です。主任ケアマネの資格取得や管理者になるなど、自身のスキルアップも効果的です。
給与だけでなく、やりがいや働きやすさなども重要な要素と考えられます。
この記事は「コンテンツ制作ポリシー」に沿って執筆しています。