「介護利用者のわがままに振り回されてしまう」
「介護利用者のわがままがひどすぎて仕事に行きたくない」
介護の現場で働く方たちにとって、利用者のわがままな言動に悩まされるケースは珍しくありません。「もう限界」と感じてしまう場合もあります。なぜ介護利用者はわがままになってしまうのでしょうか。どのように対処すれば良いのでしょうか。
本記事では、介護経験者の視点から、わがままな利用者への対処法をご紹介します。ぜひ最後までお読みください。
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介護利用者がわがままを言ってしまう理由
介護利用者がわがままを言ってしまう理由について考えてみましょう。介護利用者の心情を理解すると、適切な対応方法を見つけやすくなります。
抱えている病気などによるもの
認知症やうつ病、脳梗塞などの病気は、介護利用者の行動や性格を大きく変えてしまう場合があります。介護利用者自身は、わがままを言っているとは気づいていません。
認知症の場合、記憶力の低下や判断力も弱くなるので、適切な行動を選べない場合も多いです。理不尽な要求をしたり不適切な言動をしたりしてしまいます。
脳梗塞の後遺症がある場合、感情のコントロールが難しくなる症状はあります。ちょっとしたできごとで急に怒り出したり泣き出したりしてしまい、感情や行動をうまくコントロールできない状態です。
寂しさや不安が消化できない
自宅から施設への転居など環境に変化が起きたとき、介護利用者にとって大きなストレスを感じます。慣れ親しんだ環境を離れ、新しい生活に適応しなければならないという不安が、わがままな言動となって表れる場合があります。身体機能の低下により、今まで当たり前にできていた行動ができなくなる喪失感も、不安や焦りを引き起こす要因です。
自身の感情をうまく表現できず、わがままな態度として現れる場合があります。
もともとの性格によるもの
人生の大半を過ごしてきた中で作られてきた性格は、高齢になって変わるケースは少なく、年を重ねるにつれて性格の特徴が顕著になる傾向は多いです。
若いころから自己主張が強かった人は高齢になるとその傾向が強まり、周囲の意見を聞き入れずに偉そうな態度をとって、自分の要求を押し通そうとする場合があります。完璧主義な性格の人は、自分の思い通りにならない状況に対してより強い不満を表すようになる場合も見られます。
話し相手がいない
介護利用者の多くは、退職や配偶者との死別、友人関係の縮小などにより社会的なつながりが減少しています。施設入所後は、新しい人間関係の構築が難しく、孤独感を深めてしまう場合も多いです。孤独感を埋めるために、介護者の注目を引こうとわがままな言動をするケースがあります。
些細な内容で頻繁に呼び出したり特別扱いを要求したりして、介護者とのコミュニケーションを求めているケースもあります。
介護利用者のわがままに関わる6つのコツ
介護利用者のわがままに対応するためには、以下の6つのコツを覚えておくと良いです。
性格や行動を把握する
それぞれの介護利用者の性格や行動パターンの理解は、介護の基本です。朝に機嫌の悪い傾向がある介護利用者には、朝食時にていねいな対応を心がけるなど、予測に基づいた対応をします。好きな話題や趣味を把握しておくと、わがままな言動が出そうな場面で話題を切り替え、気分転換もできます。
高齢者の心理や病気を理解する
加齢にともなう心理的変化や病気についての理解は、わがままな言動の背景を考えるうえで重要です。
認知症による見当識障害で混乱している介護利用者に対しては、現実を否定するのではなく、世界観に寄り添いながら穏やかな対応が効果的です。うつ傾向のある介護利用者に対しては過度な刺激を避け、ゆっくりとしたペースでコミュニケーションをとります。
信頼関係を築く
信頼関係の構築には時間はかかりますが、介護の質を大きく左右します。日々の挨拶や声かけ、介護利用者の話に耳を傾けるなど、小さな積み重ねが重要です。信頼関係ができると介護利用者は安心感を得て、わがままな言動も減少します。
困った状況があった際には素直に相談してくれるようになり、問題の早期発見や対応にもつながります。
生活リズムを安定させる
規則正しい生活リズムは、利用者の心身の安定をもたらします。食事や入浴、活動や休息などの時間を一定に保つと、身体的な健康維持だけでなく精神的な安定にもつながります。
認知症の場合、毎日同じ日課を送ると安心感を得られ、不安やストレスによるわがままな言動は軽減される場合が多いようです。
集中できる時間を作る
趣味や活動に没頭できる時間は、介護利用者の自尊心が高まり生きがいを感じられる機会です。園芸や読書、手芸などの活動を通じて、達成感や充実感が得られます。活動への集中でストレスが軽減され、わがままな言動が減少するケースも多いようです。
集中できる活動中は、他者とのトラブルも起きにくいです。
役割をもってもらう
簡単な作業や役割を担当してもらうと、介護利用者は自分が必要とされていると感じ、自尊心を保てます。テーブル拭きや新聞たたみなど日常業務の一部を手伝ってもらったり、ほかの介護利用者の世話を任せたりすると、社会的な存在意義を感じてもらえる可能性が高いです。
支援をされる側ではなく組織の一員として自覚が生まれ、わがままな言動は減少する場合があります。
介護利用者のわがままに対処する6つの方法
介護利用者のわがままに対処する6つの方法について、より詳しく説明いたします。
ほかの利用者の安全確保をする
わがままな言動がほかの介護利用者に悪影響を与える場合、ほかの利用者の安全確保を最優先します。
介護利用者が大声で叫んだり暴力的な行動をとったりする場合、ほかの介護利用者を別の部屋に移動させるなどの対応が必要です。問題行動を起こしている介護利用者は別の場所に誘導し、落ち着かせます。
安全を確保したあとは、状況に応じて看護師や家族に連絡をとるなど適切な対応をします。
できることとできないことをはっきり伝える
介護者の役割や限界をはっきり伝えることは、多くの介護利用者を支援するうえで重要です。
介護施設の場合「24時間つきっきりの介護はできませんが、定期的な見回りと必要な支援はおこないます」といった内容を説明します。できない内容を伝える際は代わりの案の提示が必要です。
集団生活のルールを伝える
介護施設での集団生活には一定のルールが必要です。ルールを介護利用者に理解してもらうと、わがままな言動が減る場合も多いです。
「食事の時間はみんなで一緒に楽しむ時間です」「ほかの方の休息時間を邪魔しないようにしましょう」というように、ルールの意味や重要性をていねいに説明します。ルールを目で見てわかるポスターなどを使用すると、より理解しやすくなります。
一緒にできることを見つける
わがままな要求の裏にある本当のニーズを理解し、気持ちを満たすための提案が効果的です。常に介護者に注目して欲しい介護利用者には、ほかの介護利用者との交流ができる集団活動を提案したり役割を与えたりすると、精神的に満たされます。
身体を動かしたいという欲求がある場合は、運動プログラムを提案するなど、それぞれの要望に合わせた活動の発見が重要です。
病気を理解する
認知症などの病気による言動の場合、病気の症状という理解をして適切な対応をおこないます。認知症による妄想や幻覚に対しては、否定するのではなく感情に寄り添う気持ちが必要です。うつ症状がある場合は、無理に活動を強いるのではなくゆっくりとしたペースでの支援が大切です。
ストレスへの対処法をまとめた記事を読む
わがままに対処し続けていると、どうしても自身にストレスが溜まって利用者にきつくあたってしまう可能性があります。これを回避するには、ストレスへの対処が重要です。
すぐにできる方法として、ストレスへの対処法をまとめた記事を読んで対処する方法があります。
たとえば、「Up Survive」が紹介している「【ストレスで人生崩壊】仕事がやばい・限界と感じた時の対処法」は仕事のストレスへの対処法が紹介されています。気になる方はこういった記事を読んでみてください。
ほかにも「ハピネスマガジン」の「介護ストレスの発散方法5選!介護に疲れたときの正しい対処法とは?」もおすすめ。
なお、介護派遣の「ホップ」でもご相談にのっているので、転職も視野に入れつつ相談したい方はぜひご利用ください。
【筆者経験談】わがままな利用者に遭遇したときの話
私が介護の現場で働いていたころにデイサービスで見た利用者の様子です。
- 運動したいからと言って勝手に外に出ようとする
- 特定の利用者と離れた席にして欲しい
- 風呂は一番がいい
- 送迎者は乗りやすい小さな車がいい
- 送迎時間が長い
- 早く帰りたい
デイサービスの介護職員は介護利用者の要望に沿うようにしていましたが、集団生活のためすべての要求は受け入れられません。そこで、話をじっくり聞く時間を設け、できる支援とできない支援をはっきり伝えました。そのほかにも、できる範囲で役割を担ってもらったりほかの利用者との交流の機会を増やしたりしてみたら、徐々にわがままな言動が減っていきました。
介護利用者のわがままを表面的でとらえずに、なぜそのような発言をするのか考え、しっかりコミュニケーションをとる時間を設ける必要性を感じた事例です。
わがままな介護利用者にお悩みの方は介護派遣の「ホップ」にご相談ください!
介護の現場で働く方にとって、わがままな介護利用者への対応は大きな課題です。介護派遣の「ホップ」は困ったときにいつでも相談できる味方です。
ホップは単なる派遣サービスではありません。転職後もサポートを提供し、介護職員のみなさまが安心して働ける環境づくりに力を入れています。わがままな利用者への対応に悩む場合には、いつでも相談してください。
ある介護施設でわがままな介護利用者への対応に困っていた介護職員の方が、ホップのサポートを受けて状況が改善した事例はあります。ホップのコーディネーターが具体的な対応策を提案し、施設側との調整もおこなうことで職場環境が大きく改善されました。
ホップは、細やかなサポートを提供しています。わがままな利用者への対応で悩んでいる方、より良い職場環境を求めている方はぜひホップにご相談ください。
わがままな介護利用者に関するQ&A
ここからは、わがままな介護利用者に関する良くある質問に答えていきます。
利用者にイライラしてしまうときの対処法を知りたい
イライラしてしまうのは自然な感情です。深呼吸をして気持ちを落ち着かせましょう。利用者の言動の背景にある理由を考えてみてください。
必要であれば、同僚や上司に相談し、一時的に交代してもらうのも良い方法です。
どうしても利用者に優しくできないときはどうしたらいい?
自分の限界の認識も大切です。介護利用者へ無理に優しくする必要はありません。プロフェッショナルとして冷静な対応を心がけましょう。
自分の感情をコントロールする方法について学ぶのも効果的です。改善が難しい場合は、同僚や上司への相談が必要です。
デイサービスの迷惑な利用者への対処法は?
デイサービスでの迷惑行為に対しては、ほかの利用者の安全確保が最優先です。迷惑行為をしている利用者に対して、なぜ行動が問題なのかをていねいに説明します。
迷惑行為をしている利用者の興味や能力に合わせた活動の提案で、問題行動を予防できる場合もあります。必要に応じて、家族や担当ケアマネージャーと相談し、対応策の検討も必要です。
「デイサービスって大変」と感じているなら、デイサービスの向き不向きを見直してみてはいかがでしょうか。下記の記事を参考にしてみてください。
介護利用者のわがままが大変と感じたら転職も視野に入れてみよう
介護利用者のわがままな言動への対処は、たしかに大変です。背景にある理由を理解し適切な対応方法を身につけると、介護利用者に合った支援ができます。
本記事で紹介した対処法やコツを参考に、日々の介護に活かしていただければ幸いです。介護は決して楽な仕事ではありませんが、介護利用者の笑顔や感謝の言葉に出会えたときはうれしくなります。
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