「介護の仕事でなにがきついのか知りたい」
「3Kではない介護の職場があるのか知りたい」
この記事にたどり着いた人の中には、「すでに働いているけど、介護職は3Kと言われているから転職したい」と考える人もいるでしょう。介護の仕事はやりがいもありますが、3Kと言われるようなつらい一面もあります。
本記事では、介護職の3Kの内訳や対策について詳しく解説します。「介護の仕事は好きだけどきついのは避けたい」と感じている方は、参考にしてみてください。
【経験談】介護職の3Kとは?
介護職が3Kの仕事と言われる理由は、以下の3点があげられます。
- きつい仕事
- 汚い仕事
- 危険な仕事
「きつい」仕事
介護職は身体的にも精神的にも非常に負担の大きい仕事です。要介護者の移動や入浴介助など、体力を消耗する作業が日常的におこなわれており、多くの介護職が腰痛などの身体的問題を抱えています。自身の体重よりも重い利用者を介助する場面も珍しくありません。
夜勤や不規則な勤務形態により、睡眠不足や体調不良のリスクが高まります。とくに新人の介護職にとって、仕事に慣れるまでの期間は非常にストレスが多い状況です。休暇の取得が難しい場合も多く、心身ともに疲労が蓄積されやすい環境にあります。
大きな負担を感じやすく、休暇取得の困難さも相まって、体力的にも心理的にも厳しい職場環境と言えます。
「汚い」仕事
介護職では、排泄物の処理や清拭など、衛生面での作業が避けられません。おむつ交換や入浴介助、嘔吐物の処理など、直接的に「汚れ」に接する機会が多くあります。
決して楽な仕事ではありませんが、利用者の尊厳を守り快適な生活を支えるために必要な支援です。
筆者が介護職として働いていた際には、おむつ交換や食事介助などの支援をおこなっていました。利用者が食事中にくしゃみをしたときなど、口の中の食べ物が飛んできたことは一度や二度ではありません。このような状況でも、私は落ち着いて対応するよう心がけていました。
介護職は、予測不可能な状況にも適切に対応する能力が求められます。
「危険」な仕事
介護の現場には多くの危険が伴います。
介護職は、利用者の転倒や感染症のリスクに常に注意する必要があります。介護する中で、介護職自身もけがや病気になる場合も少なくありません。身体の大きな利用者を移乗させる際には、重さによって一緒に転倒してしまう可能性もあります。
認知症のある利用者をケアする際には、予期せぬ行動に対応する必要があり、注意が欠かせません。徘徊や暴力行為への対応、医療的ケアの提供中の事故もリスクの一部です。
筆者が夜勤をしていた際に、興奮した認知症の利用者に杖でたたかれそうになりました。そのときには避けられたのですが、当たっていたらけがをしていたかもしれません。
リスクに対処するためには、介護職が利用者の行動を見守り、適切な安全対策の実施が重要です。
4Kと言われるケースもある
介護職の給与水準はほかの産業に比べて低いことが指摘されており、「4つ目のK」として認識される場合があります。厚生労働省の統計によると、介護職の平均給与は全産業平均を下回っており、とくに若手や未経験者の給与水準は厳しい状況です。
昇給やボーナスが少ない、または、ないなどの職場もあります。低賃金問題は、人材確保の難しさや離職率の高さにもつながっており、業界全体の課題です。ただし、政府の施策により徐々に改善が図られており、今後の動向が注目されています。
参考:令和4年賃金構造基本統計調査の概況 |厚生労働省
【現場向け】介護職の3Kにできる対策
介護職は3Kと言われますが、気にならないと言う方もおり、自分自身がどのように捉えるのかが重要です。3Kには以下のような対策が考えられます。
「きつい」への対策は、介護支援ツールの使用が有効です。介護ロボットやリフトなど、介護職の身体的負担を軽減する道具は増えてきています。職場によっては、日勤のみの採用など「きつい」に対する対策は進んでいます。
「汚い」に関しては、慣れたり割り切ったりするとできるようになる場合も多いです。排泄行為は人間にとって欠かせないものであり、介護の際には尊厳を守るために配慮も必要です。排泄介助用のエプロンや手袋をして、衛生面や感染予防の観点からも自分自身を守る対策が求められます。
「危険」へのリスクに対しては、日常的に職場環境や利用者の状況を観察し、潜在的なリスクを把握して事故から身を守ります。病気や感染から身を守るためにバランスの良い食事や適度な運動をおこない、健康管理をしていきましょう。
介護職の3Kの改善動向を紹介
介護職の人材を確保するために、以下の4つのような3Kを改善する動きが進んでいます。
- 労働環境を改善する
- 施設や設備を改善する
- 衛生管理が向上する
- リスク管理が向上する
労働環境を改善する
労働環境を改善するための取り組みが進められ、適切な労働時間や有給休暇の取得促進、メンタルヘルスの対策が含まれます。シフト制の見直しで長時間労働を減らしたり、有給休暇の積極的な使用を勧めたりしています。ストレスチェックの実施も心の健康を守るためには重要です。
介護職がキャリアアップできる機会を増やし、モチベーションの向上や職場の定着を図る施設も増えています。介護福祉士や認知症ケア専門士などの資格取得を支援する制度を設けている場合も多いです。スキルアップを目指す介護職にとって魅力的な職場環境と言えます。
施設や設備を改善する
介護現場では、ロボットや福祉機器を取り入れ、介護職の身体的な負担を減らす努力が進んでいます。利用者をベッドから車いすへ移動する際のリフトや、利用者の安全を見守るセンサーの導入が増えています。介護機器は、介護職の作業を楽にし、利用者の安全も守ることが可能です。
ICT(情報通信技術)の活用が、日々の記録業務を効率化しています。タブレット端末やクラウドシステムの導入により、ペーパーレスでの業務や情報の共有がスムーズになり、作業時間の短縮になるのが特徴です。ICTの利用により、介護職の負担が軽減され、より質の高いケアが提供できるようになっています。
衛生管理が向上する
感染症対策と清潔な環境に向けた取り組みが、新型コロナウイルスの流行をきっかけに強化されており、衛生管理についてより厳しい対策が導入されました。
具体的な対策としては、施設内の定期的な消毒作業や防護具の使用などです。空気の流れを改善するための換気システムの改修を進めた施設もあります。物理的な対策に加え、職員の衛生的教育も多くおこなわれるようになり、感染症予防のための知識と技術が強化されています。
リスク管理が向上する
安全教育の実施や事故防止マニュアルの整備など、リスク軽減のための対策が進んでいます。人員が少ないと事故も起こりやすくなるため、人員配置の見直しもされるようになりました。
職員の心身の健康管理も重要なリスク管理として認識されるようになり、定期的な健康診断や、メンタルヘルスのチェックなどが積極的におこなわれるようになっています。
【トレンド】介護職の新3Kとは?
介護業界はネガティブな意味で3Kと言われており、イメージを変えるためには意識の改革が必要です。そこで「新3K」と言うポジティブなワードが出てきています。
- 感謝
- 感動
- 価値
それぞれ解説します。
感謝してもらえる
利用者や家族から直接感謝の言葉を言ってもらえると、大きなやりがいにつながります。「ありがとう」と言う感謝の言葉は、介護職にとって大きな励みです。
長期間、介護に携わっていると利用者の状態が改善する様子を見られる場合もあります。家族から「あなたのおかげでこんなに笑顔が見られるようになった」などと言われると、自分の仕事が誰かの幸せにつながっていると実感できます。ありがとうと言われ感謝されると、介護職自身にとって価値のある経験となるでしょう。
感動できる
利用者の良い変化や笑顔に立ち会えるのは、介護職ならではの喜びです。寝たきりだった利用者が自分で車いすを操作できるようになった瞬間や、認知症の利用者が久しぶりに家族を認識できたときなど、人生の貴重な場面に立ち会える場合があります。
楽しい瞬間は、介護職の仕事の意義を再確認させてくれる貴重な瞬間です。
価値が得られる
誰かの人生に寄り添い支える経験は、介護職自身の成長にもつながる貴重な機会です。介護の仕事を通じて、コミュニケーション能力や問題解決能力、人生観までもが深まっていきます。
さまざまな人生経験を持つ高齢者との関わりを通じて、人生の知恵を学べます。チームケアを通じて、協調性やリーダーシップなどのスキルを磨くことも可能です。介護の仕事だけでなく、自分自身の人生においても大きな価値があると言えます。
自分に合う介護の職業を選ぶポイント
介護職を選択する際には、自分に合った職場を見つけることが重要です。以下の3つのポイントを参考に、慎重な選択をおすすめします。
- 業務内容はできるのか
- ワークライフバランスは保てるのか
- 人間関係は良好か
詳しく解説します。
業務内容はできるのか
自分の体力や適性に合った業務内容なのか確認が必要です。介護の仕事には、介護施設や訪問介護、デイサービスなどさまざまな業種があります。
体力に自信がある人は施設介護が向いているかもしれません。コミュニケーション能力に自信がある人は、訪問介護やデイサービスが適しているでしょう。認知症ケア、リハビリテーションなどに興味がある場合は、特化した施設を選ぶのもひとつの方法です。
ワークライフバランスは保てるのか
勤務形態や休暇制度が自分のライフスタイルに合うか確認が必要です。介護の仕事は、シフト制や夜勤など不規則な勤務形態が多いのは特徴であり、自分の生活リズムや家庭環境に合わせて無理のない勤務形態の選択が重要です。
育児中の方であれば、日勤のみの勤務や短時間勤務が可能な職場もおすすめできます。有給休暇の取得率や育児・介護休暇の制度などの確認も必要です。働きやすい環境で長く介護職を続けられることが、キャリア形成のうえでも重要です。
人間関係は良好か
職場の雰囲気や人間関係は、長く働くうえで重要なポイントです。面接時に職場見学や現場スタッフとの交流の機会を設けてもらえると、実際の雰囲気を直接感じ取れるでしょう。
職員の定着率や離職率、研修制度の充実度なども職場環境を判断するうえで欠かせないチェックポイントです。上司や同僚との連絡や相談がどのようにおこなわれているか、チームワークを重要視しているかなども確認すると良いです。
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「介護職に挑戦したいけれど、3Kの職場は避けたい」
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介護職の3Kに関するQ&A
介護職の5Kや7Kとは?
介護職の5Kとは、3Kの「きつい」「汚い」「危険」に加えて、「給料が安い」「臭い」など追加される場合があるのが現状です。ネガティブなキーワードは介護職の課題とされる点ですが、近年の取り組みにより改善が進んでいます。
「給料が安い」については、処遇改善加算の導入により徐々に改善されつつあります。「臭い」に関しても、衛生管理により大幅に改善されている介護施設が多いです。
7Kに関してのポジティブな意味として、「希望」「期待」「感謝」「感動」「感激」「可能性」「快感」を表しています。介護職はつらく大変な仕事ばかりではないことがわかります。
介護職の給料は今後どうなる?
政府の施策により徐々に改善が図られており、さらなる待遇改善が期待されています。介護報酬の改定や処遇改善加算の拡充などにより、介護職の給与水準を引き上げる取り組みがおこなわれています。キャリアパスの整備により、経験や資格に応じた昇給システムの導入が進んでいる施設も多いです。
今後は、介護人材の確保や定着が社会的な課題となる中で、給与水準のさらなる改善が期待されています。
関連記事:介護職の給料について解説した記事はこちら
介護職は3Kと言われるが楽しいことも多い仕事
介護職は「3K」のイメージはありますが、つらいだけの仕事ではありません。労働環境の改善や新技術の導入により、今までの問題は徐々に解消されつつあります。
介護職の職場選びでは、自分に合った環境の見極めが重要です。大変と思う場面もありますが、やりがいも大きいのが介護職です。自分自身の生活環境ややりたい業務内容も考慮して、新しい職場を探していきましょう。
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