2025/07/15

ユニット型と従来型の違いは?特別養護老人ホームの居室2タイプを解説

介護の知識

特別養護老人ホーム(特養)は、高齢者の方が長期的に安心して暮らすための施設です。居室には「ユニット型」と「従来型」といった2つのタイプがあるのをご存知ですか。

「利用者さんにとってどのような生活環境の違いがあるのか」「働く介護職員にとって仕事内容や人員配置はどう違うのか」など、これから特養で働きたい方には気になるポイントが多くあります。

本記事では、ユニット型と従来型の特養の違いをわかりやすく解説します。特養への転職を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

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ユニット型と従来型の違いは居住環境

ユニット型と従来型の違いは居住環境

特養には大きく分けて「ユニット型」と「従来型」の2タイプがあります。どちらも要介護3以上の方が入居できる施設であり、居住空間や設備の作りが異なるのが特徴です。詳しく解説します。

ユニット型の居住環境

ユニット型特養は全室個室で、10人程度の小さな単位(ユニット)で暮らします。居室はプライバシーを確保しつつ、リビングやダイニングなど共用空間で入居者同士や職員と自然に交流できるよう設計されています。

家庭のような雰囲気の中で、利用者一人ひとりの生活リズムや好みを大切にしたケアをおこなうのが特徴です。職員は少人数を担当し、生活全般を支えるため、掃除や配膳、会話なども含めた暮らしをつくる支援が重視されます。より個別性の高いケアを実現するため、職員同士の情報共有も密にして、利用者に寄り添ったサポートをおこないます。

従来型の居住環境

従来型特養は多床室が中心で、4人部屋や2人部屋をカーテンで仕切ります。ある程度プライバシーは確保されますが、個室は少数です。大きなフロア単位で入居者を管理し、職員が効率的に多人数をケアできるように設計されています。

入浴や食事介助、排泄ケアなどは決められたスケジュールに従って流れ作業的におこなわれる場合が多く、職員は役割分担をしながらチームで協力して支援します。入居者同士の距離感が近く、声かけや見守りも同時にできる一方で、プライバシーや個別性はユニット型に比べると制約があり、効率重視の運営が基本です。

【働く人向け】ユニット型と従来型の仕事内容の違い

居住環境の違いは、そのまま職員の仕事内容やケアの進め方にも影響します。利用者10人程度を家族のようにケアするユニット型と、大勢を効率的にケアする従来型の、それぞれの特徴を理解しましょう。

ユニット型の仕事内容

ユニット型では利用者一人ひとりの生活を大切にする個別ケアが求められます。職員は決まった10人前後の利用者を担当し、食事や排泄、入浴の介助だけでなく、居室清掃やレクリエーションなど日常生活のすべてを支援します。

家庭のような温かい雰囲気をつくるため、利用者の好みや生活リズムを尊重し、臨機応変に対応する力が必要です。ユニット内での情報共有や会議も頻繁におこない、職員間の連携を密に保ちます。生活支援全般を通じて利用者の尊厳を守り、心地良い暮らしを支えるのが大きな役割です。

記事監修者:長谷部宏依
長谷部宏依(はせべひろえ)
職員同士しっかり連携しましょう。

従来型の仕事内容

従来型では多人数の入居者を効率的にケアする点が重視されます。職員はフロア全体を担当し、入浴や排泄、食事介助などを決められた時間に進めます。役割分担が明確で、看護職や他職種との連携も欠かせません。

流れ作業のように複数の利用者を同時に対応する場面も多いため、スケジュール管理や優先順位をつける能力が求められます。個別対応も必要ですが、全体の流れを止めない工夫が必要です。多床室での見守りや声かけも欠かせず、効率と安全を両立させるためにチームワークが非常に重要な職場です。

ユニット型と従来型の報酬の違い

ユニット型と従来型で介護報酬は違うのかと気になる方も多いはずです。結論から言うと、介護保険上の報酬単位が異なるため、施設収入としてはユニット型のほうが高い傾向にあります。違いは次の2つです。

 ユニット型従来型
基本単位

(ユニット型個室の場合)

・要介護1:638単位

・要介護2:705単位

・要介護3:778単位

・要介護4:846単位

・要介護5:913単位

(多床室の場合)

・要介護1:559単位

・要介護2:627単位

・要介護3:697単位

・要介護4:765単位

・要介護5:832単位

日常生活継続支援加算46単位36単位

参考:厚生労働省「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

記事監修者:長谷部宏依
長谷部宏依(はせべひろえ)
ユニット型特養のほうが介護報酬は高めのため、人件費や人員配置に還元しやすいとされています。職員給与は法人や地域によっても差があるため、面接時にしっかりと確認しましょう。

ユニット型と従来型の人員配置基準の違い

特養の人員配置基準も、ユニット型と従来型で一部異なります。介護保険制度上、より手厚い配置を求められる点がユニット型の特徴です。

ユニット型の人員配置基準

ユニット型特養では、利用者一人ひとりに合わせた個別ケアを実現するため、人員配置が比較的手厚く設定されています。従来型のように大人数をまとめて管理するのではなく、10人程度の少人数単位で職員を固定配置するのが特徴です。利用者の生活リズムや性格、好みを深く理解し、より個別な支援が可能になります。

ユニット型の人員配置基準の特徴は以下のとおりです。

  • 2ユニットごとに夜勤職員を1人以上配置
  • 1ユニットごとに日勤職員を1人以上配置
  • ユニットごとに、常勤のユニットリーダーを配置
  • 利用者3人に対して看護職員または介護職員1人以上の配置基準

こうした体制で、利用者の生活リズムや好みに寄り添ったきめ細やかなケアを実現します。

参考:厚生労働省「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の報酬・基準について(検討の方向性)

従来型の人員配置基準

従来型特養は多床室中心の大規模フロアでの運営を前提とし、効率性を重視した人員配置が特徴です。広いフロア全体を複数の職員でカバーし、利用者の多人数ケアを可能にするために、日勤・夜勤ともにフロア全体を見守る体制をとります。従来型の人員配置基準の特徴は以下のとおりです。

  • 日勤・夜勤職員はフロア全体での配置が基本
  • 多床室を含む大規模な対応を前提とした体制
  • 利用者3人に対して看護職員または介護職員1人以上の配置基準

効率を重視しつつも、見守りや声かけを通じて安全を確保し、多数の利用者に安定したケアを提供します。

記事監修者:長谷部宏依
長谷部宏依(はせべひろえ)
職員が一丸となってフロア全体をみていきます。

参考:厚生労働省「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の報酬・基準について(検討の方向性)

【どっちが向いている?】ユニット型と従来型に向いている人の違い

ユニット型と従来型の違いを踏まえて、どんな人が向いているのかをまとめてみました。

ユニット型は少人数を担当し、生活全般を支える個別ケアが中心です。利用者一人ひとりの思いや生活リズムに寄り添いたい人に最適です。

  • 利用者さん一人ひとりとじっくり関わりたい
  • 高い介護スキルを身につけたい
  • 小規模でチームワークを大切にしたい
  • 家庭的な雰囲気の職場が好き
  • 流れ作業より、個別対応を重視したい  
     

従来型は大人数を効率的に支援する仕組みを持ち、チーム全体で役割を分担して動きます。段取り力や臨機応変さが求められる職場です。

  • 大人数を効率よく支援するのが得意
  • 役割分担のはっきりしている職場が良い
  • スケジュール管理・優先順位付けが得意
  • チーム全体での連携を重視する
  • 経験を積んで、さまざまな状況に対応したい
記事監修者:長谷部宏依
長谷部宏依(はせべひろえ)
自分自身の希望や性格を考えながら、選択すると良いです。

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ユニット型と従来型の違いに関するQ&A

ユニット型と従来型の違いは?

ユニット型は全室個室で10人程度の小規模単位を「ユニット」として家庭的なケアを実現します。利用者の生活リズムを尊重し、個別性を大切にするのが特徴です。

  • ユニット型:全室個室、少人数制で家庭的ケア
  • 従来型:多床室中心、大人数を効率的に支援

どちらも高齢者を支える場ですが、居室環境やケアの進め方に大きな違いがあります。

ユニット型と従来型はどちらが大変?

ユニット型は、少人数の利用者を固定で担当し、家庭的な空間で一人ひとりの生活に深く関わるのが特徴です。その分、個別対応の力や観察力、責任感が強く求められます

たとえば「Aさんは今日は体調が悪そう」「認知症で不安が強いから声かけを工夫しよう」など、利用者に合わせた対応が必要です。利用者との信頼関係を大切にし、その方らしい生活を支えるやりがいが大きい反面、「逃げ場のない距離感」「休みづらいシフト制」などの精神的負担も課題です。

従来型特養は、大きなフロアで複数の利用者をチームで効率的にケアします。一斉の排泄誘導やオムツ交換、集団での食事介助など、段取り力や協調性が必要です。

夜勤では広いフロアを少人数で回し、コール対応や急変時の判断など負担も大きく、忙しい時間帯はバタバタする場合もあります。個別ケアはやや制約されがちですが、チーム全体で協力し合えるメリットもあります。

大きな違いは以下のとおりです。

  • ユニット型:個別対応力、責任感が大きい
  • 従来型:段取り力、夜勤負担感が大きい

それぞれに異なる大変さがあり、自分の得意や希望に合わせた選択が大切です。

ユニット型に向いている人とは?

ユニット型特養は、利用者さん一人ひとりとじっくり向き合い、その方らしい生活を支えたい人に向いている職場です。家庭的な雰囲気の中で、顔なじみの職員として利用者の日々の小さな変化に気づき、声かけや対応を柔軟に変えながら信頼関係を築きます。

認知症で不安が強い方に繰り返し同じ説明をしたり、食事の好みを覚えて声をかけたりと、一斉対応では難しい個別ケアを実践できます。少人数のチームで情報を共有し、「Aさんは今日はこんな様子だった」と相談しながらケアを組み立てるため、チームワークも重要です。

ユニット型に向いているのは、以下のような方です。

  • 利用者さんとじっくり関わりたい
  • 家庭的な雰囲気でケアしたい
  • 生活支援を大切に考える
  • 小規模チームで連携したい

こうした思いを持つ人には、ユニット型の職場がぴったりです。

記事監修者:長谷部宏依
長谷部宏依(はせべひろえ)
個別支援をしたいならユニット型がおすすめ。

ユニット型・従来型の違いを理解して自分に合った働き方を見つけよう!

ユニット型と従来型の違いを整理すると、次のようなポイントが挙げられます。

 ユニット型従来型
居室全室個室多床室中心
ケアの単位10人程度のユニットフロア全体
ケアの特徴個別ケア、家庭的雰囲気集団ケア、効率重視
仕事内容生活支援含む個別対応多人数を流れ作業的にケア
人員配置

・2ユニットごとに夜勤職員を1人以上配置

・1ユニットごとに日勤職員を1人以上配置

職員はフロア全体での配置

ユニット型も従来型も、それぞれに魅力と特徴があります。自分のライフスタイルに合った勤務先を選ぶと、介護の仕事はもっとやりがいを感じられます。

「どちらがいいのかわからない」といった方は、ぜひホップの転職サポートを利用してみてください。介護の現場を熟知したコーディネーターが、あなたに合った働き方を一緒に見つけます。

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著者情報 / 監修者情報

長谷部宏依(はせべひろえ)
長谷部宏依(はせべひろえ)
介護職員として介護老人保健施設に入職。 その後介護福祉士を取得し訪問介護や訪問入浴、デイサービスで働く。 ケアマネジャーは20年の実績があり、100名以上の高齢者を担当。 認認介護や老老介護、介護拒否など困難事例も多く経験。 現在はWebライターとして介護記事を中心に執筆している。