「介護職はレベルの低い人が多いの?」
「優秀な人はいないの?」
このように考えている人も多いのではないでしょうか。
介護業界に対して悪いイメージを持っている人もおり、誤解されていることが多い状況です。「介護業界はクズばかり」という不名誉な話もしばしば聞かれますが、実態とは大きく異なります。
私は数十年介護職に従事してきました。一緒に働いていた同僚は献身的で責任感の強い人が多かったことを覚えています。本記事では、介護職にまつわる否定的な意見がどのようにして言われるようになったのか、介護職の魅力や事実について、私の経験を踏まえながら解説していきます。
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なぜ「介護職員はクズばかり」と言われるのか
介護職は現在の日本の高齢社会においてなくてはならない存在です。感謝をしてくれる人も多いですが、「介護職員はクズばかり」と言う人がいるのはなぜでしょうか?介護職に対して良く理解していない人が、ネガティブな発言をされる傾向にあるようです。
理由は以下の項目が考えられます。
- 転職がしやすく誰にでもできる仕事と思われているから
- 労働環境や給料に対するイメージが悪いから
- 介護職員の定着率が低いと言われているから
- 人間関係のトラブルが多いと思われているから
- メディアが問題のある施設をクローズアップするから
転職がしやすく誰にでもできる仕事と思われているから
介護業界に対する一般的なイメージのひとつに「転職がしやすく誰にでもできる仕事」という認識があります。介護職への転職のハードルが比較的低いことや、継続的な人手不足が原因です。
たしかに未経験や異業種からでも介護職に就くことは可能ですが、「誰にでもできる」という認識は間違っています。
介護職は単なる身体的な介助だけでなく、利用者の精神的な面にも心配りが必要です。高いコミュニケーション能力や忍耐力、気配りや目配りが求められる職業になります。体力があるから介護の仕事が合っていると思って入ってくると、考えていた以上に気遣いをしたり注意力が必要だったりするため、介護職は合わないと辞めていく人もいます。
介護職への参入障壁は低いですが人間性や専門知識が求められる仕事のため、奥の深い仕事と言えるでしょう。
労働環境や給料に対するイメージが悪いから
介護職に対するマイナスイメージの原因には、労働環境と給料に関するものがあります。「体力を使う仕事」「夜勤があって不規則な労働環境」「給料が低い」と言われることも多く、「大変なのに給料が安い仕事」というネガティブなイメージが定着しています。
ニュースなどでも、とり上げられている介護職の給料は、年々改善されてきており労働環境も良くなっている職場も多い状況です。介護職の状況を知らない人たちが、イメージや想像だけで介護業界を悪く言っている場合もあるでしょう。
介護職員の定着率が低いと言われているから
介護職は人手不足であり定着率が低いと言われることは多いですが、実際のデータを見てみると正確な認識とは言えないようです。令和4年雇用動向調査結果の概要の中から主なものを載せてみました。
産業別 | 離職率 |
---|---|
鉱業・採石業・砂利採取業 | 6.3% |
金融業・保険業 | 8.3% |
製造業 | 10.2% |
医療・福祉 | 15.3% |
生活関連サービス業・娯楽業 | 18.7% |
宿泊業・飲食サービス業 | 26.8% |
全産業平均 | 15.0% |
表を見てわかるように、介護職の離職率は全産業平均と同程度となっています。離職率の一番高い宿泊業・飲食サービス業と比べると10%以上の差がある状況です。労働条件や給料などが原因で退職する介護職がいる一方で、献身的に仕事を続ける人も多いことを示しています。
出典:厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概要」
人間関係のトラブルが多いと思われているから
介護の職場における人間関係のトラブルが多いというイメージは、介護職に対する誤解のひとつです。介護職は利用者やその家族、同僚との間で密接な人間関係が求められるため、対人関係での摩擦が生じることはあります。介護職特有の問題というよりは、ほかの職種でも良くあることではないでしょうか。
職場における人間関係のトラブルは、多くの職場で共通する課題です。介護職においては綿密なコミュニケーションとチームワークの強化が、トラブルの予防と解決に重要な役割を果たしています。
メディアが問題のある施設をクローズアップするから
介護業界に対する一般的なイメージが悪化しているひとつの原因として、メディアが問題のある施設をクローズアップする傾向があります。ニュースでは、暴行や暴言のような重大な問題を抱える施設がとり上げられることは多いです。視聴者に対して業界全体が同じような問題を起こしているかのような誤った印象を与えてしまいます。
多くの介護施設では利用者に対して適切なケアを提供し、介護職員も専門的な知識と献身的な姿勢で日々の業務にとり組んでいます。一部の施設で発生する問題がメディアによって強調されることで、不適切な行動が介護業界に良くあることのような認識が生まれてしまうのでしょう。
【経験談】レベルが低い介護職員の例を紹介
介護職として働いていたときに、残念ながら一部の介護職員にレベルが低いと言わざるを得ない例を見たことがあります。
遅刻や欠勤が頻繁にある介護職員の場合です。自宅から職場までの距離が遠く、電車の遅延などを理由に遅れることが多々ありました。深刻なのは、定時に出勤せず連絡もない状況があったことです。携帯電話に連絡をとると、寝ていたため電話のコールの音で起きたと答えていました。会議でも寝ていることが多いため、周りからの信用もなくなっていきました。
このような状態は職場に大きな混乱をもたらします。出勤予定だったにもかかわらず本人が現れないため、急きょほかの介護職員が代わりに仕事を引き受けることになり、負担がかかってしまいました。
勤務態度が悪い場合周りからも仕事を任されることがなくなり、本人も職場にいづらくなってしまうでしょう。
【クズばかりは嘘】介護職の実態や魅力を元職員が解説
介護職がクズばかりと言われてしまう理由を説明してきましたが、実態は違います。真剣に利用者や家族と向き合い、真摯に仕事と向き合っている職員がほとんどです。
- 介護職員は一生懸命で責任感の強い人が多い
- 介護職の給料や待遇は改善されてきている
- 介護は高いスキルや経験が必要な仕事
- 介護は高齢社会において必要不可欠な仕事
介護職は魅力がたくさんある仕事です。周囲からイメージの良くない言葉をかけられても、自信を持って業務ににとり組んでいきましょう。
介護職員は一生懸命で責任感の強い人が多い
多くの介護職員は、強い責任感と真剣な姿勢で日々の仕事をしています。単なる介助だけでなく、利用者の健康と安全に細心の注意を払いながら業務に取り組むのが介護職です。
たとえば、食事介助では、利用者が食べ物をのどに詰まらせないよう、食材の量や大きさを適切に調整します。しっかりと飲み込めたかを丁寧に確認したうえで次の食事を口に運ぶ必要があり、思っているよりも簡単ではありません。
オムツ交換においても、単にオムツを替えるだけではなく、利用者の肌の状態を注意深くチェックします。赤みや褥瘡(じょくそう)がないか確認をし、異常があれば迅速に看護職員への報告が必要です。
介護職の給料や待遇は改善されてきている
介護職の給料や待遇は悪いと思われていますが、徐々に改善されています。
令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、介護職の月給は令和3年12月と令和4年9月を比べると、9,210円アップしています。1か月の実労働時間数は166.9時間から163.7時間と3.2時間減少しており、労働時間の改善が反映されていると言えるでしょう。
労働時間の減少は、介護職員の仕事とプライベートのバランスを改善し、ストレスを減らす効果が期待できます。待遇が改善され続けると、これからも介護職として働く人が増えるでしょう。介護職の将来性について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」
介護職は高いスキルや経験が必要な仕事
介護職は学歴や以前の職種、年齢にかかわらず転職しやすい職業ですが、質の高いケアを提供するためには専門的なスキルと経験が不可欠です。初心者でも介護業界に入ることは可能ですが、介護の仕事は幅広い知識と技術が要求されます。
認知症のある利用者のケアや麻痺がある人への適切な移乗方法など、多くの知識と経験が必要です。介護技術を身につけなければ利用者にけがをさせてしまうリスクがあり、介護職は大きな責任を伴う仕事であると言えます。
介護職員がスキルアップするためのひとつの方法は、資格の取得です。「介護福祉士」という国家資格は、高度な介護技術と知識があることを証明する重要な資格であり、キャリアアップの道が開けます。
介護職は高齢社会において必要不可欠な仕事
介護は、高齢社会において重要な仕事です。2025年には団塊世代がすべて後期高齢者になります。介護を必要とする人も増加するため、介護職が多く必要になるでしょう。
介護職員が不足すると利用者が満足な介護を受けられなくなり、望むような生活が送れなくなります。要介護度の進行にもつながり、介護にかかる時間も増えて悪循環が生まれてしまうでしょう。介護職は、これからの日本を支えていくためには重要な仕事と言えます。
クズな介護職員への対処法
職場にクズと言われるような介護職員がいるかもしれません。どのようにかかわっていけば良いか下記のポイントに絞って解説していきます。
- 悩みは人に相談する
- まじめに仕事にとり組む
- 自分に合った職場を見つける
ストレスなく仕事ができるように適切に対処していきましょう。
悩みは人に相談する
クズと言われるような介護職員がいる場合、さまざまなトラブルを起こすことがありストレスも多くなります。悩みをひとりで抱え込むのではなく、信頼できる人に相談することが大切です。悩みを共有することで、解決策が見つかることもあります。
同僚や上司であれば問題のある介護職員のことも知っているため、つらさや苦しみ、ストレスも理解もしてもらえるでしょう。
まじめに仕事にとり組む
問題のある介護職員の発言や行動は、周りの介護職にも影響を及ぼすことがあります。仕事の進行にも支障が出るかもしれません。できるだけ気にしないようにして、淡々と仕事をすることが大切です。
何か仕事を押し付けられたり理不尽なことを言われても、自分の成長にとって必要なこととポジティブに受け止め、仕事に集中していきましょう。
自分に合った職場を見つける
いくら我慢をしていても、限界がくる場合はあります。我慢を続けていると自分自身の心身に不調をきたすこともあるでしょう。対応ができなくなった場合は、上司に相談して異動を検討してもらうのもひとつの方法です。施設勤務ならフロアを変えてもらうのも良いでしょう。
異動が叶わない場合には転職する方法もひとつです。介護職は、訪問介護やデイサービス、訪問入浴などさまざまな働き方があるので選択肢が広く感じるかも知れません。
実際に働いてみないとわからないこともあるため、年齢を重ねての転職は不安に思う方も少なくないと思います。その場合は、なるべくたくさんの転職先の情報を集めて検討するようにしましょう。
「今いる職員は変な人が多い」と感じたら転職がおすすめ
「異動をしてもまた変な人がいる」という場合は、職場全体の雰囲気が悪化しているのかもしれません。コミュニケーションがとれておらず上司の指導が行き届いていない場合の職場が多いです。自分の力ではどうにもならない場合は、職場を変えるのがおすすめです。
風通しが良く雰囲気の明るい職場は、人間関係が良い傾向があります。職場見学をする際には、介護職員の言動や全体の雰囲気の確認が必要です。
たとえば、介護人材サービスの「ホップ」では、介護転職のサポートを全力で行います。一日の大半を過ごす職場の居心地が悪い場合、仕事自体がつまらなくなり気持ちも沈みがちになるでしょう。
ホップは、一般では知られていないさまざまな情報を持っています。「転職先にも変な職員がいたらどうしよう」と一人で悩む前に、お気軽にご相談ください。
介護職はクズばかりではない!まじめに取り組む職員がほとんど
介護職がクズと言われる理由やレベルの低い介護職員の実例を紹介してきました。このような人はほんの一部で、多くの介護職員は真面目に地道に仕事をしています。目立つ職員に足を引っ張られないようにすることが何よりも大切です。
クズと言われる人と一緒の職場にいると、自分自身が嫌な思いをすることや理不尽なことを言われる場合もあるでしょう。上司に相談しても改善されないときは、異動の申し出や転職で身を守ることが重要です。
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