「処遇改善加算、ちゃんと支給されてるの?」
「自分の給料にどれくらい反映されているのかわからない…」
このような不安を感じたことはありませんか?
処遇改善加算は、介護職の給料アップのために設けられた制度ですが、「ピンハネされているのでは?」という声も聞かれます。
本記事では、処遇改善加算の基本や事業所が勝手に差し引けるのか、万が一適正に支給されていない場合の対処法まで、わかりやすく解説します。処遇改善加算を理解し、安心して働くためのポイントを押さえましょう。
【予備知識】処遇改善加算とは?

処遇改善加算(介護職員等処遇改善加算)は、介護職員の給与や職場環境の向上を目的として作られた制度です。
2024年度の介護報酬改定により、従来の3つの加算(処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算)が一本化されました。
一定の条件を満たした事業所に支給され、2024年度は2.5%、2025年度は2.0%の給与アップが見込まれています。

出典:厚生労働省「「処遇改善加算」の制度が一本化(介護職員等処遇改善加算) され、加算率が引き上がります」
処遇改善加算が原則ピンハネできない4つの理由

事業所が処遇改善加算をピンハネしているのでは?と不安に思うかもしれませんが、法律や制度の面からも、勝手に差し引くことはできません。
ここでは、処遇改善加算が適正に支給される4つの理由を解説します。
就業規則に支給方法を明記する義務がある
処遇改善加算の支給方法は、労働基準法第15条・第89条に基づき、就業規則への明記が義務付けられています。
具体的には、「加算の算定方法」「支給時期」「支給額」などを記載しなければなりません。
明記されていない場合、事業者は労働基準法違反となり、行政指導や罰則の対象になる可能性があります。
賃金改善の報告義務がある
介護事業者は、処遇改善加算を賃金改善に充てているか都道府県に報告する義務があります。
報告内容には「加算の取得状況」「賃金改善の実施状況」「実際にかかった費用」が含まれ、原則毎年提出が必要です。
虚偽の報告が発覚した場合、加算の返還命令や事業所指定の取消といった厳しい罰則を科される可能性があります。
介護報酬の規定により全額支給が原則とされている
処遇改善加算は、介護職員の賃金向上を目的としており、別の用途への流用はできません。
万が一、適正に支給されていない場合、事業者は不正受給とみなされ、行政指導や加算の返還命令などの処分を受ける可能性があります。
不正が発覚すると罰則の対象になる
万が一、事業所が処遇改善加算をピンハネしていた場合、行政指導・加算の返還命令・事業所指定の取消など、罰則の対象になります。
とくに悪質なケースでは、業務停止や廃業の可能性もあるため、事業所側も慎重に対応しなければならないのです。
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処遇改善加算をピンハネした際の罰則

ここでは、処遇改善加算を適切に支給しなかった場合の罰則を詳しく解説します。
追行政指導・是正勧告を受ける可能性がある
処遇改善加算を適切に支給しなかった場合、自治体から行政指導や是正勧告を受ける可能性があります。
行政指導は改善を促す助言や勧告、是正勧告はより強い指導で、具体的な改善策の実施が必要です。
これらに従わない場合、事業所指定の取消などの厳しい処分を科される可能性があります。
加算の返還命令が下されることがある
処遇改善加算を不正に受給した場合、加算の返還命令が下されることがあります。
対象となるのは、加算を職員に支給していない場合や、算定要件を満たさずに加算を受給している場合です。
返還額は不正受給の期間や金額によって異なり、命令に従わない場合、さらに厳しい処分が科される可能性もあります。
事業所指定が取り消される場合がある
処遇改善加算を不正に受給した場合、介護事業所の指定が取り消される可能性があります。
指定が取り消されると、介護報酬の請求ができなくなり、事業の継続ができません。
加算の不正受給や不適切な使用は、加算の返還命令だけでなく、事業そのものの存続に影響を及ぼします。
【ピンハネ?】処遇改善加算の金額に疑問を感じたらできること

処遇改善加算が適正に支給されているのか不安な場合は、給与明細の確認や問い合わせが有効です。
それぞれ紹介します。
給与明細を確認する
まずは給与明細をチェックしましょう。
処遇改善加算の項目があるか、金額が就業規則や説明と一致しているかの確認が重要です。
加算分が基本給や手当に含まれている場合もあるため、不明点があれば人事担当者や上司に相談しましょう。
給与明細は証拠となるため、定期的に確認して保管しておくのがおすすめです。
職場に支給ルールを確認する
就業規則を確認し、処遇改善加算の支給方法について疑問がある場合は、職場で確認しましょう。
上司や同僚に相談するのも一つの方法ですが、聞きづらい場合は労働組合に相談するのも有効です。
職場で確認しても解決しない場合は、労働基準監督署や自治体への相談を検討しましょう。
労働基準監督署や自治体に相談する
もしも賃金未払いの可能性がある場合は労働基準監督署、不正受給の疑いがある場合は自治体の介護保険主管課が対応します。
相談時には、給与明細や就業規則などの証拠を用意するとスムーズです。

【介護職】処遇改善加算のピンハネに関するQ&A

介護職の給料の今後はどうなる?
介護報酬改定により、介護職員の給料は今後も上がる可能性が高いです。
処遇改善加算の一本化により、加算取得が容易になったことで、さらなる給与アップも期待できます。
介護職の給料が安すぎると感じたら?
介護職は評価制度が不透明な場合も多く、給与アップの道筋が見えにくい場合があります。
給料を上げる方法として、処遇改善加算を適正に活用している職場選びや、転職・派遣の活用も有効です。
処遇改善加算のピンハネが行われていないかしっかりチェックしよう!

処遇改善加算は本来、介護職員の待遇向上を目的としたものです。事業所によっては適切に支給されていないケースもあるため、自分の給与明細や支給ルールをしっかり確認しましょう。
不明点がある場合は、職場た労働基準監督署などの専門機関に相談し適正な対応を求めることが重要です。
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